穴澤天神社大祭
江戸の里神楽は六百年の歴史があり、神楽は民俗芸能の中では最も古いと言われています。神霊を慰め神に捧げる神事舞として現在に継承されています。
現在、東京に四つの「江戸の里神楽」が伝承されていて、その一人、山本頼信社中は、唯一神社の神官の家が伝承しているものだそうです。昭和42年に東京都文化財に認定され、平成6年には国の重要無形民族文化財に指定されました。
19世、山本頼信社中の神楽は室町時代初期応安6年(1373年)山本権律師弘信が創始したと伝えられ、古事記や日本書記に題材を求めて演じられています。山本頼信社中の「江戸の里神楽」について、財団法人 東日本鉄道文化財団のサイト:まるきた伝統空間「江戸の里神楽」に紹介されています。
今年の演目は、
「墨江大神」の式三番と五人囃子、「敬神愛国」:えびす様・コトシロヌシノミコトのところへ打ち出の小槌をもたれた大黒様・オオクニヌシノミコトが訪ねてこられ、おもてなしをします。下官が大漁祈願の祈祷をし、その後えびす様は酒の肴に鯛を釣りあげます。次に大黒様が打出の小槌を振って宝授け(福徳)の舞を舞います。
面の持つ表情や眼力は圧倒的で、演じるものを面の者に化身させます。福をいただけるという投げられた祝い餅はとれなかったけれども、打ち出の小槌を目の前で振りおろして下さった大黒様には思わず手を広げてその確かな寿ぎを受け取りました。
獅子舞は稲城市指定文化財です。
京からやってきたと言われる先払いの天狗が、右手に団扇、左手に瓢箪を持って舞いながら土地を清めます。次に天狗は一頭の雌獅子と二頭の雄獅子をつれて清められた土地で舞います。
昔は作物を作る苦労や台風や災害などを表す舞が二時間以上も続いたとのことですが今はその中から主なものが舞われると、小さい頃からもう何十回も見ているお年寄りが解説して下さいました。
ホラ貝の笛を伴い、神社の階段を舞いながら上がってくる獅子舞は勇壮でした。この日は伝統芸能にぜひ関心を持ってもらえるようにと呼ばれた子どもたちで賑わっていました。
獅子舞は、農民の願いである五穀豊穣・厄除け・雨乞い等の祈願として神社の境内で行われています。この祭りに十五の時からもう六十年も関わっていると話して下さった方は三人の歌方のお一人でした。歌方の長老は九十代、いいお声でした。
鎮守の森に蜩が鳴いて、古の風が吹きました。神社の入り口には稲城カルタの碑があります。碑には「穴澤の社に江戸の里神楽」と詠まれていました。写真左は神社神殿。
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