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札幌聖ミカエル教会

札幌聖ミカエル教会

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Open Panorama

八月初旬の日曜日、アントニン・レーモンド氏設計の札幌聖ミカエル教会の礼拝にお邪魔した。といっても、信者では無い拙者がお邪魔したのは、この教会の建設に関わられた信者の方にお会いするという、礼拝からちょっとそれた目的からである、神様、申し訳ナイ、、、

真夏の北海道、屋外は太陽がギンギンと眩しいが、一歩室内に入ると湿度が低いのでクーラーなど無縁である。礼拝堂の内は、その佇まいや聖歌の歌声も手伝って、とっても清々しい。

札幌聖ミカエル教会・礼拝堂内部

札幌聖ミカエル教会・礼拝堂内部

礼拝に参加したのは、今から二十数年前、義弟が霊南坂で牧師をやっていたこともあり、結婚式の前に数回、にわか信者として参加して以来である。今回も、ほとんど口パク状態だったが、中には、拙者でも知っている有名な聖歌もあり、ちょとだけ声をだしてみた。司祭の説教もとてもわかりやすく、爽やかな日曜の朝を過ごす事が出来た。

この教会に来たのは今回で三度目である。下見、撮影、そして礼拝。その度、この建物から感じるのは、バリア?が無く、とてもオープンな印象だ。拙者の少ない経験では、教会のドアを開け、中に入るのは、とてもプレッシャーを感じる、決して疾しい気持ちが有る訳では無いのだけれどなぁ、、、

その印象が何処から来るのか知りたくて、この教会が建った頃のことをすこし調べてみた。この教会の建設に尽力されたベバリー・D・タッカー司祭の著書※1)によると、司祭が、設計依頼のため東京のレーモンド邸を訪ねた後の事を「見込みどころかかすかな希望でしかないと思った」と書かれている。当時、十分な資金が無かったため、設計料がほとんど無い状態での依頼だったらしい。しかし、長い間連絡が無く、忘れられたと思っていた図面が届いた時、そのよろこびは大きかったようだ。図面について教会関係者で議論した結果、「どんな変更も、より便利になることはなく、おそらく美を損なうだろう」とも書かれている。

札幌聖ミカエル教会

札幌聖ミカエル教会

素材には、丸太、レンガ、砂利など地元に根ざしたのも、そして窓には、ノエミ夫人のデザイン(追記2008.09.17:アイディアは吉村順三氏とのこと)した和紙が和風ステンドグラス?のように貼られている。レーモンド氏の設計思想には「Simple, Natural, Economical, Direct, Honest」の5原則があるという。私自身、この教会が自然でオープンに感じるのもきっと、そのせいなのだと納得である。

前回の訪問時、李司祭は、この教会の属する聖公会※2)について、とても丁寧に、そして、分かりやすく説明して下さった。また、ここで出逢った信者のみなさん、とても暖かみを感じる方々ばかりである。建物だけではなく、そこに関わる人々までも「自然でオープン」なオーラを発しているように感じた。

札幌聖ミカエル教会・正面

札幌聖ミカエル教会・正面

ところで、まったくの蛇足だが、聖ミカエル教会を正面からまじまじと見ていると、どことなく、みのぼうしを被った雪ん子に似ているなぁと、さらに親しみを感じてしまった。(2008年8月5日撮影)

※1)「神が成長させてくださった」
著者:司祭 ベバリー・D・タッカー
発行:日本聖公会札幌聖ミカエル教会

【札幌聖ミカエル教会】
住所:北海道札幌市東区北19条東3丁目
設計:アントニン・レーモンド
完成:1960(昭和35)年

【関連情報】
日本聖公会 札幌聖ミカエル教会
Wikipedia:アントニン・レーモンド
Wikipedia:教会堂
※2)Wikipedia:聖公会


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  1. takagi

    実に趣深い教会です。クリスマス礼拝とか雰囲気あるんでしょうねぇ。
    それにしてもレーモンド氏の5原則、いろんなものに応用できそうです(パノラマ撮影の心得としても…)。

  2. keiji

    takagiさん、どーも
    >いろんなものに応用できそうです
    そーですよネ、我が身を考えると、まずは日常からだなぁ…。

  3. AKi

    この小さな教会の空間の魅力がよく分かるいいパノラマですね。

    何回か札幌に出向いたのに、この教会を訪ねることなくいます。
    昔、有名なご自宅を見せていただいた建築家・上遠野徹氏が竹中工務店時代に工事を担当され、その建設に大きく貢献された事を今回初めて知りました。
    この教会は、戦前の軽井沢の聖ポール教会の系譜ですが、そこで初めて試みられたガラスと和紙によるステンドグラスは、現場を担当した吉村順三のアイディアであると聞いています。

    この札幌の教会の翌年には、新潟県新発田のカソリック教会が竣工ですが、ここは竣工間際に見たことを思い出します。

  4. keiji

    秋山さん、コメント有り難うございます。
    >建築家・上遠野徹氏が竹中工務店時代に工事を担当され、
    礼拝の時、ちょっとだけお話を伺うことが出来ました。タッカー司祭の著書によると、上遠野氏のお子様がミカエル幼稚園にいらした関係で繋がっていたそうです。もちろん、上遠野氏がレーモンド氏を尊敬されていたことがベースのようですが。

    >現場を担当した吉村順三のアイディアであると聞いています。
    そうだったんですか、、、

    >新潟県新発田のカソリック教会が竣工ですが、ここは竣工間際に見たことを思い出します。
    いつか聖ポール教会ともども拝見したいなーとおもっております。

  5. non

    28日は、教会のバザーに行ってきました。
    建築家の上遠野(かとの)さんと司祭の三澤さんにお目にかかることができました。教会幼稚園の小さな椅子に腰掛けて、教会を建てた時のこと、タッカー司祭のこと、レーモンド夫妻のことなどなど…50年前のお話を楽しく伺う中で、「二人は生き証人」と微笑まれるお二人が、どれほど札幌聖ミカエル教会とそのご縁を大切にされているかを感じることができました。そしてそこには、バザーに集う幼子を見守る温かなまなざしがありました。

    三澤さんから伺ったタッカー司祭とのエピソード。
    ある日、「車に乗って行きませんか」とお誘いを受けたので、お願いしたら、自転車の後ろだった!タッカー司祭は一つも高ぶるところがなく楽しい方だったと。

    バザーでは、手作りのおはぎ、チーズケーキ、チョコレートケーキ、キッシュをお土産にしました。どれもおいしかったこと!

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