1. HOME
  2. PANORAMA
  3. 函館 JAZZ喫茶 カフェ バップ(Cafe Bop)
PANORAMA
Cafe Bop 店主 松浦善治さん

函館 JAZZ喫茶 カフェ バップ(Cafe Bop)

PANORAMA, people, shop

726

Open Panorama1969年開店、今年で53年目を迎える老舗のJazz喫茶である。現在の店は上階の焼き鳥屋の火災のため移転した場所で2008年からとなる。

店主 松浦善治さんは2015年秋に「Jazz写真展 – 今は亡き思い出のジャズメン」、そして今年、Coltraneのドキュメンタリ映画「Chasing Trane」に公開に合わせ写真展を開いている。展示された写真は1960年代から撮り溜めた今は亡きJazz界の巨人たち。

「Jazz写真展 – 今は亡き思い出のジャズメン」のパンフレットには、

私は写真家ではありません。
ただただJAZZが好きで、
国内外のコンサートを飛び廻りシャッターを押してきました。
そして気がつけば半世紀を越えていました。
中にはピンボケもありますが、それらも含め撮り溜めた写真たちは
「今となっては貴重な記録なのでは?」と思い、
この度発表することと致しました。
さまざまな方々の目に届くことができれば幸いです。

Cafe バップ 松浦善治

と書かれている。

函館 JAZZ喫茶 カフェ バップ(Cafe Bop)

函館 JAZZ喫茶 カフェ バップ(Cafe Bop)

店内の壁には松浦さんが撮った写真、Coltrane、Miles、Ellaのサイン、戦時中、米軍向けに作られたV-DIsc等が飾られている。
どれも演者の音が迸るような、そんな味のある写真である。

松浦さんは昭和14(1939)年生まれの御年82歳、さくらんぼで有名の山形県東根市出身。父 善八さん(明治22生まれ)はアメリカに行って一儲けしようと横浜の船会社に入るも、アメリカへの密航?は叶わなかったが世界各地を巡り蓄音機を持って帰るほどのハイカラな人だった。

18歳の時、姉が函館へ嫁ぐに当たり、義兄で後に国会議員となる阿部文男氏の運転手の話があり、新し物好きの松浦さんは当時、オート三輪が主流の時代、4輪のオースチンに惹かれ運転手として一緒に移り住むこととなった。

家族写真

今から約100年ほど前の家族写真で右端に蓄音機が写っている

運転手を7年(25歳まで)やった後、車好きから横須賀の日産追浜工場で新車の陸送の仕事に着く。陸送で帰りの汽車賃と弁当代を貰って地方の販売店へ新車を届けた後、余った時間で好きなJazz喫茶を巡った。

「当時、頭の中にあるのは車とJazzだけだった」愛媛にニューポートというJazz喫茶があると聞くと上司に「愛媛の仕事は無いでしょうか?と頼んだものです」陸送の仕事の4年間(29歳まで)、山口、鳥取、愛媛、秋田…全国のJazz喫茶を巡った。

そうこうしてる内に函館で知り合った今の奥さまから、函館でJazz喫茶にぴったりな場所があるよと連絡をもらう。早速、レコード(約300枚)、ドラムセットを愛車のスズキフロンテに乗せて、横須賀、函館間を3往復して運び、1969年、29歳の時に念願のJazz喫茶Bopを開く。

コルトレーンのベタ焼き

コルトレーン(東京厚生年金会館、1966年7月18日)のべた焼き

開店にあたりJazz好きの仲間が「松浦が戻ってきて店を開くよ」とレコードを持ち寄ってくれて最後は2,500枚ほどになったそうだ。しかし、14年前(2008年)、上階の店舗(焼き鳥屋)の火災に遭い、地下にあったお店が水没し営業不能となる。同年、Bopの常連のお客さんが「マスター店閉めたらダメだ」といって現在の場所を紹介してくれて店を再開した。

開店して半世紀以上、いままでBopをやっていて最も印象的だったことはなんですか?とお聞きした。「独Enja Recordsの設立者Horst Weber、Ann Burton、秋吉敏子、そして全国のBopファンの方々、Jazzを通して世界中の人たちと知り合うことが出来ました、それが財産です」

V-DIsc Player

「MODEL 9A」MFD. BY PACIFIC SOUND EQUIPMENT COMPANY HOLLYWOOD, CALIFORNIA

話の途中、奥からゴソゴソと蓄音機らしきものを出してきて見せてくれた。偶然、通りを歩いていた廃品回収のおじさんのリヤカーの荷台に蓄音機らしきものを見つけ、交渉し、購入した「V-Disc Player」だ。

V-Discとは第二次世界大戦当時、米軍の慰問用に作られたレコードで、VはVictoryの頭文字である。サイズはLPレコードと同じ12インチだが、回転数がSPレコードと同じ78回転とのこと。当時、ヘリコプターからパラシュートで現地に投下されたらしく、いかにも頑丈そうな作りであった。まー、とにかく松浦さん、筋金入りのジャズマスターであった。

[カフェ バップ(Cafe Bop)]
場所:北海道函館市新川町9-14
電話:0138-22-7211
営業時間:11:00〜19:00 (休:木曜)
撮影:2022年09月03日
機材:Canon EOS R + EF8-15mm F4 L Fisheye@15mm + Nodal Ninja 4
アプリ:Lightroom, Photo Shop, PTGui Pro

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

PickUp