旧丸井今井百貨店函館支店
函館旧市街、末広町の十字街にある旧丸井今井百貨店。この地域は、開港後の明治〜昭和初期、函館の繁華街の中心であった。
建物の歴史は、
1923(大正12)年、鉄筋コンクリート造3階建で竣工、1930(昭和5)年に5階建てへと増築し、その際、エレベーターを設置。1934(昭和9)年の大火で内部が全焼したが改修工事を行い、その年の11月には営業を再開。1969(昭和44)年、百貨店が移転した後は、市役所分庁舎として長期間使用されていた。(国土交通省 国土技術政策総合研究所「歴史的文化的価値を踏まえた高齢建造物の合理的な再生・活用技術の開発」参照)
だがしかし、歴史的建造物の宿命か?この建物もご多分に漏れず、耐震安全性の問題が発生。都市景観条例の「景観形成指定建物」に指定されているこの建物をどのような形で残すか検討され、結果、1930年に増築された5階の一部を残しつつ、竣工当時の丸型ドームを復活させた3階建となった(2007年)。現在は、市民活動や観光案内等をサポートする「函館市地域交流まちづくりセンター」となっている。
私が幼年期を過ごした昭和40年代前半、この界隈は、たしかに黄昏れた空気が漂っていた。丸井は家から比較的近かったので、時々、親に連れてってもらうのが楽しみだった。函館駅周辺にはもっと大きな百貨店等があり賑わっていたのだが、当時から人混みが苦手だった自分には、ここの閑散とした空気?が妙に落ち着けて好きだった。店内には写真店もあり、お気に入りの場所であった。話は少し脱線するが、当時のカメラで今でもはっきり覚えているのはオリンパス・ペン Fである。カタログを貰ってから暫くはウットリと眺めていた記憶がある。このカメラが、今度、半世紀を経てデジタルで再登場するらしい。当時、買えなかった無念を晴らすべく、大人買いでもしたいところである(笑)
話を百貨店に戻そう。
数十年ぶりに訪れた丸井であるが、ほとんど記憶に残っている場所は無かった。そんな中、唯一、階段、エレベーターだけは懐かしさを感じる場所であった。近年、エスカレーターが普及してからは、素っ気ないエレベーターや階段が多くなった気がするが、ここのは違う。大理石の階段や蛇腹式のエレベーターは重厚感がある。ここに立つと百貨店が華やかだった頃の記憶が呼び起こされるのである。
[旧丸井今井百貨店函館支店]
場所:北海道函館市末広町4-19
撮影:2015年6月8日
機材:Canon 6D + EF 8-15mm F4 L Fisheye@15mm + Nodal Ninja 4
アプリ:Lightroom, Photo Shop, PTGui Pro, Pano2VR
ピクセルサイズ:14,436pix * 7,218pix(エレベーター)
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