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北海道百年記念塔

北海道百年記念塔

architecture, PANORAMA

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Open Panorama1970(昭和45)年、北海道開道百年の記念として札幌市厚別区の野幌森林公園に建てられた塔である。塔の高さは百年にちなみ100m。設計は公募によるコンペ方式が採用され久米建築事務所(当時)の井口健氏の作品が選ばれた。ちなみに次点には黒川紀章氏の作品も含まれていたようだ。

この塔について道の公式ページ(北海道博物館)には「上空に向かって無限大の高さで一点に交わる二次曲線は、未来への発展を象徴しています。また、平面的には六角形を形取っていて、これは雪の結晶を表現しています。」と書かれている。さらに解説の最後には「現在、危険防止のため百年記念塔及びその周辺への立ち入りを禁止しています。」と付け加えられている。北海道は老朽化と維持費の問題で既にこの塔の解体を決めている。

この塔が建った時代は丁度、日本の高度経済成長期でもあり、多くのイベントが催されている。

1964年(昭和39):東京オリンピック
1968年(昭和43):北海道百年記念祝典(北海道百年記念塔)
1970年(昭和45):日本万国博覧会(大阪万博)
1972年(昭和47):札幌オリンピック

北海道百年記念祝典とほぼ同時期に開催された大阪万博のシンボル「太陽の塔」、博覧会以降非公開であったが2020年に国の登録有形文化財に登録され、現在は一般公開されている。

では、同じモニュメントとして建てられた北海道百年記念塔がなぜ解体と言う道を辿るのだろうか?Googleでキーワード「北海道百年記念塔」を入れ検索するとページ下部に関連キーワードとして以下の単語が現れる。

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百年記念塔 負の遺産
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北海道百年記念塔の未来を考える会
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関連キーワードがユーザーの正確なイメージを反映してるかどうかは不明だが多少ネガティブな印象があるのかも知れない。その原因は何処から来るのか?知りたくて先ずは設計者 井口健氏の設計の意図を調べてみた。サイト「北海道百年記念塔ファン」※1には「設計者・井口健 北海道百年記念塔を語る」のページがあり、設計競技への応募、設計理念、審査と設計〜竣工管理に至るまで本人の言葉で事細かに書かれていた。

外装材のコルテン鋼について

塔の外装にはUnited States Steel Corp.が開発したコルテン鋼(COR-TEN® 耐候性鋼材)が用いられている。このコルテン鋼、初めは普通の鉄と同様にサビるが、やがて合金元素の働きにより表面に保護膜が形成され腐食を抑制し超長期間の使用が可能、「塗装せずに100年の耐久性を」とメーカーのカタログには書かれている。商品化されてから既に半世紀以上経つが、多くの土木(橋梁)や建築等で使用されているようである。コルテン鋼のもう一つの魅力はサビの色が、黄色〜茶色〜黒褐色へと経年変化する事である。

設計者の井口健氏曰く

この性質が北海道百年のテーマである「風雪100年輝く未来」にふさわしいと一層確信したんです

と前述のサイトのインタビューで語られている。ただ、この設計意図について道民には十分に伝わっていたのだろうか?もしかすると、そのことがサビで危険だとか不気味という先入観につながってしまっているのではなかろうか。

予算不足について
コンペ案には塔以外にも先人たちへの慰霊のための「瞑想空間」等が入っていたが設計者の意図に反し予算不足で省かれてしまったようだ。

「設計者・井口健 北海道百年記念塔を語る」を読み、この「コルテン鋼の誤解」と「省かれた空間」が現在の北海道百年記念塔のイメージに少なからずネガティブな影響を与えているように感じた。

あくまで個人的な思いではあるが、可能なら必要最低限の修復を施し、この塔がこれからの後50年、風雪に耐え枯れていく姿を見てみたいと思った。ただ、そのためには塔の設計意図を道民に広く理解して頂く必要性があり、それでこそ道民の生活に親しみを持って溶け込むシンボルとなり得ると思う。

1サイト「北海道百年記念塔ファン」

[北海道百年記念塔]
場所:北海道札幌市厚別区厚別町53-2
撮影:2020年06月10日
機材:Canon EOS R + EF40mm F2.8 + Nodal Ninja 4
アプリ:Lightroom, Photo Shop, PTGui Pro

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